けふもまた 何事も無く 老いの日々

雨音や 独り暮らしに 過ぎし日々

痛風の 足をさすりて 古稀近し

老いた身に いずれあらん 別れの日

夏空や 人無き道に 靴の音

背の暑さ 若き夏の日 戻り来ぬ

昼下がり ピアノの調べ 何処より

草の原 寝てみる花火 風涼し

亡き父母の 墓に佇む 夏の夕

久々の 従兄弟の電話 老いし声

膝痛で 引きずる足を 我が身とは

妻出掛け 独りで暮らす日 ふと思う

独り寝の 窓から見える 満月や

暁に 早目覚めて 今日思う

秋の陽に 過ぎし季節を 忍ぶかな

久々の 走れる足や 景色飛ぶ

痛風の 膝をさすりて 独り寝る

行き暮れて 今宵の宿は 灯も見えず

老いし人 秋の陽を受け 独り去る

幼き日 秋陽だまりに 寝転びて

道行かば 紅葉散りて 音も無し

落葉や 滝の如くに 散り落ちぬ

山肌に 影投じたり ちぎれ雲

秋空に 天を割りたる 戦闘機

木枯らしに 卒塔婆鳴りて 我呼ぶか

冬晴れに 松ヶ枝揺れて 天を指す

母の句に 母の人生 偲びたり

退院に 親の喜び かくてあり

聞き取れず 老いの孤独を 噛み締める

名も知れず 土手の草むら 春の花

二人して 眺めし花や 今何処

亡き人の 眠る丘より 海眺む (弔いに訪れし神戸にて詠む)

時は行く 海辺の丘に 眠る人 (同上)

夏雲や 微かに動く 午後の墓地

日過ぎても 父母憎む我 未だ居り

雨降りて 雨音に耳 独り座す

ネオン街 ざわめき消えて 星光る

朝焼けや 遠くの街に 灯り見ゆ

北風に 向かいて走る 我が人生

峰からの 風に散りゆく 花と雪

影見えず 駐車場に 夏近し

夏雲や じっと動かず 午後の峰

冬晴れや 天を持ち上げる ケヤキかな

早春や すること無くて 風の音

花びらや 老いゆく肩に 降りかかる
 

草原に 楽しき家族 連れ立ちて 我が過ぎ去りし 遠き日思う

古稀過ぎて 春の風音 父母の声

住む人の 無き家の屋根 月光る


またひとつ 更地になりて 草茂る 

主無き 更地に咲くや 去年の花

同じ花 咲けども父母の 姿なし

人気無き 夏の公園 一人歩く

木漏れ日に 思い出還る 夏の道

夏風邪に 臥したる我に 老いを見る (2016.07.18)

我一人 露天風呂にて 鱗雲 (2016.10.15)

雪降りて 幼き日々を 思い出す (2016.11.26)

降る雪を 窓に頬付け じっと見る (2016.11.26)

雪降れば 君と歩いた 赤城山 (2016.11.26)

草繁る 廃家の庭に 落ち葉舞う (2016.12.29)

年男 古稀も二年 過ぎし日を

春風に 亡き友思ふ 幾歳ぞ

ハクレンの 咲く庭深き 誰ぞ住む

行く春や 友亡くなりて 碧き空

花咲きて この何処にや 死ありける

我一人 露天風呂から 鰯雲

主無き 屋敷の庭に 落ち葉舞う

過ぎし日の 想いや巡る 平地かな

梅林の 彼方の道に 人影や

晴れ渡る 碧き空にも 死あるらし

雨降りて 宿の窓から 桜見る

春や春 訪れし人 今は亡き

花や花 なを見し人は 今何処

道ゆかば 舞い散る花の 懐かしき

老妻や 待ちわびたりし 子の電話 (誕生日に子からの電話待つ老妻)

電話来て いつもの笑顔 飛び跳ねる(同上)

黄砂舞い 遙かに暮らす 我が子あり

アカシヤの 咲きたる頃に 母逝きぬ (父母の命日を迎えて)

カレンダーに 母の文字あり 墓参の日

父の文字 少し離れて 母を見る (父母命日は同五月)

九年間 一人暮らしの 長き日や (父は9年後95歳没)

受付の 若き女の 手の白さ (診療所にて)

誕生日 古稀を挟んで 幾年ぞ (夫72歳、妻69歳)

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     さすらいの歌
 
 流れ流れて此処は上州前橋宿
 
 夜の巷に彷徨い歩く
 
 これがあたしの浮き世船
 
 今が良ければそれでいい
 
 寄せ来たる気まぐれ波に身を任せ
 
 仇花と散るが女の人生
 
 何処に行くのか白河夜船
 
 知るは利根の流れか白雲か

                                            (2017.05.11)
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公園の 猫に手を振り 散歩かな

遠い夏 髪かき上げて 遠ざかる 乙女の姿 何時の日や

肩は父 手母譲りの 我生きて

五月雨や 父の命日 声偲ぶ

とにかくも  生きております 父母よ

音もせず アカシヤ並木 花ぞ散る

幼き日 遊んだ丘に 駈ける児等 (天川二子山にて)

新緑の 木立の間 我が母校

振り返る 古稀二年に 何も無し

朝雨に 微かに揺れる 琵琶の枝

窓辺より 児童の列を 眺め入る

朝雨に 旧き友の名 訃報欄

古稀過ぎて 訃報の名前 連日に

夏雲に 過ぎたる思い出 足止める

古稀二年 腕力無きを いやと知る

彷徨いて 行く先見えぬ 山路かな

路地裏に 静かに咲けり ハナミズキ

川岸に 水に触れたる 名無し草

午睡より 一人目覚めて 日暮れぬ

柿の葉に 白玉したたり 梅雨近し

五月雨に 遠き日還る 通学路

古稀雨に 野心流れず 天睨む

金持ちの 知人の顔に 安堵する

便り無き 我が子の日々に 親案ず

これでいい 何事も無き 我が人生

アンテナに 滴流れて はや梅雨

体重も 古稀に近づき 箸止める

夜更けて ネットで見つけた 旧き友 

はなみずき 早朝寒し 冬支度

何故故に 生きてる我や 此処にあり

衰えし 我が力無き 天を見る

最近は よく笑う我 如何とや

ベランダに 小雀一羽 何思う

流離いの 老人一人 ちぎれ雲

ともかくも 生き生きて来た 古稀二年

朝掃除 終わりて思う 老いの日々

妻出掛け 一人飯にて 部屋静か

数えれば 母の歳迄 あと少し

ミズナラに いと小さき葉 夏を待つ

林間に 野良猫ありて 吾と同じ

この角で 別れし人よ ありやなし

英文字に 蘇る日々 高校時代

草原に 白猫一匹 夏の午後

鍋割りに 一人登った 不惑かな

父母の 位牌鎮座す 書架の上

毎日を 位牌と暮らし  墓参せず

北の窓 朝日射し込み 夏を知る

本読みに 飽いて眺める 遠き山

朝雨に 流れ増したる 利根の水

白き雲 草茂れるや 墓参り

梅漬けて はや一年の 時過ぎぬ

雨降りて 一人遊びし 幼き日

あおき梅 花在りし頃 何処にや

美しき 色衰えて カメラ置く

世をいとい 猫と戯る 我ぞあり

黄泉の国 遠きに在りき さにあらん

娘との 自転車散歩 遙かな日

妻が先 老夫婦散歩 午後の陽

眠れずに 星空眺める 夜更けかな

如何ばかり 生きてぞ後に 曼珠沙華

一人飯 慣れたる我に 日が昇る

タラの芽を 初めて食べた 万座の湯

双子山 友と語った 大ケヤキ
 
廃校の 庭に残りし 校歌の碑

幾年ぞ 定めの別れ 落ち葉舞う

この道で 初めて出逢った 銀杏の木 
 
亡き友の 思い出還り 夜更けぬ

暁の 雷鳴激し 窓揺れる

今日もまた 昇る朝日に 手を合わす

何んであれ 直向きにやる 時過ぎる

夜更けて 机に向かう 老いた我

花散りて その日来たるや 何思う

何ぞあれ 過ぎた人生 悔いは無し

赤城嶺に 雲影写す 陽は高し

新緑の 風に泳ぐや 葉裏見せ

深き森 麦秋の風 吹き抜ける

便り無き 娘の顔を 思い出す 浮かぶはすべて 幼き日なり

釣り池に 釣り人立ちて  影はなし (峰公園釣り池にて)

抱きしめて 我が手の沈む 不思議さよ

胸知らぬ 我を睨みて 手誘う

新緑の 木立を抜ける 風さやか

雷雲の 見上げる空は 凄まじき 

振り返る 何処の人ぞ 括れ腰

異国から 信号来る 夜更けて

モーターや 若き日の事 偲ばれる

朝雨の 道に花あり 滴落つ

この道を 歩いて行けば 日は暮れる

人生は 酔生夢死が 富士の山

流離えど 何処も同じ 街の灯よ

命日に 指折り思う 琵琶の花

キャンパスで 語りし人は 今如何

落日の 騙ましの早さ 影絵なり

蝋燭の 燃え尽きまでの 遊びかな

木漏れ陽に 友の顔あり 懐かしき

風囃し 緑葉踊る 初舞台


















 



 
 

  春を想う

過ぎた昔が懐かしく

桜の枝に手をやれば

流れる雲に面影の

浮かびて消えし寂しさよ   (1973年 川嶋勝芳 作)

山茶花や再就職に髪染めて
鈴鳴らし湖畔馬車ゆく萩の道
箒目にまた散り来る竹紅葉
花冷えの茶店に熱き茶もらふ
鏡台に朝の髪梳く黄水仙
萩散りて人影もなき記念館 (以上昭和58年)

咲き残る湖畔の黄菅色濃ゆし
漸くに着きし野反湖秋意はや
遠近に畦焼くらしき煙立つ
路地裏の火伏神にも注連飾
人声の絶えたる牧の夜涼かな
芍薬の蕾ほぐるる雨を得て(以上昭和60年)

夢二の碑訪ふ人まれに秋深し
対岸の紅葉をうつす湖あかり
一片の雲も動かぬ尾根の秋
折々に湖面をよぎる風は秋
草紅葉浮世絵に似し道祖神
人影のはるか花野のわかれ道(以上平成元年)

  上の句は母親の句集から適当に抄出したものです。(大正三年九月二十九日生)

俳句と詩
 亡くなった母親は俳句を嗜んでおりました。その影響からか、私もいつ頃か分かりませんが俳句や詩を作るようになりました。時々、心に感じる時があると、それを言葉にしています。
 

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清泰院壽徳亮政居士  父  2008.05.13没 95歳
清照院壽月妙泉大姉  母  1999.05.09没 86歳